最高ランクを取るのが難しい音ゲーはどれ?(その1)
こんにちは。
「#音ゲーマー達の発信所 Advent Calendar 2014」という面白そうな企画があったので参加させてもらいました。こんなに多くの音ゲーマーの長文記事が読める機会なんて普段なかなか無かったので、今のところいろんな意味でとても楽しませてもらっています。
僕の記事は自由研究のような内容で、少々長くなってしまいましたが、時間のあるときにゆっくり読んでいただけると嬉しいです。
目次
1. 問題提起
音楽ゲームの「ランク」とは何か?
さて、はじめに僕が今回取り上げる「ランク」について簡単に確認をしておきます。ゲームによって呼称が違うのですが、簡単に言えば、AAAとかSSとか、そういうやつのことを指しています。これだけでほとんどの音ゲーマーには通じると思いますが、一応ちゃんと説明しておくと…
「ランク」とは、プレー内容(主に単曲)に対して与えられる評価の1つで、上手さをスコアや達成率によって区分して評価するもの。
多くの音ゲーではアルファベットで段階分けがされている。
といったところでしょうか。「グレード」や「DJ LEVEL」などと呼ぶゲームもありますね。混乱しないように、今回はこれを「ランク」として話を進めさせてください。
そのランクはどれくらいスゴいのか?
では本題です。
僕は元々、音ゲーはbeatmaniaIIDXしかプレーしない人間だったのですが、それ故にずっとわからないことがありました。それは他機種のランクの「スゴさ」です。
知人の中にはIIDX以外の機種を嗜む人も多く、twitterでは毎日いろんな機種のリザルトがTLに流れてくるのですが、そこで例えば、
『マクバEXH鳥出た!!!!!!!』
と言われても、どれくらいスゴいことなのか、今ひとつピンと来ないのです。もちろん中々の到達度であろうことはなんとなくわかるのですが、如何せん「SDVXでAAAを出す」ということのスゴさを理解できていないので、今ひとつ喜びを共有してあげられない、という悩みがありました。それは果たして、V(SPA)でAAAを出すことと比べて、どれくらい難しいことなのでしょうか。
なぜそのランクのスゴさがわからない?
なぜ同じ「音ゲー」をやっているのにこれがわからないのか?理由として、まず下記の点が挙げられると思います。
- 譜面に関する知識が無い
- 機種特有の入力の難しさを知らない
要するに、この機種のこの譜面がどれくらい難しいのか知らない、という話です。
『Max Burning!!(EXHAUST)はLv.15の総合譜面で特にあの箇所のあの配置が難しい』とか、
『SDVXはツマミとボタンが同時に来た時にボタンの片手処理が必要で、この時ボタンの間隔がIIDXより広く片手ではボタン範囲をカバーしきれないので、上下左右に振られるような配置をキッチリ拾うのが難しい』とか、
そういった話です(詳しくないのであくまで例です)。
入力の難しさが譜面の難しさに繋がっている場合も多いので、譜面の難しさと入力の難しさはセットにして考えたほうがいいかもしれません。
しかし、たとえこれらを知ったとしても、まだピンと来ません。なぜなら、マクバEXHの譜面の難しさはわかったけれど、
『SDVXというゲームシステムでAAAを出すことはどれくらいスゴいのか?』
という、もっと根本的な疑問が残ったままだからです。この疑問を解決するためには、
『その機種の判定幅や得点配分、ランク判定がどれくらい厳しいのか』
という部分に踏み込んでいく必要があるのです。
ランク判定のプロセス
ではここで、音ゲーのランク判定のプロセスについて、イメージを共有するために簡単に解説しておきます。プレーに対してランク判定が下されるまでには、大きく分けて3つのステップがあります。
- 各ノートのタイミングを評価(今のはPGREAT、次のはGOOD、…)
- 獲得判定数からスコア(達成率)を計算(PGREAT 800個で1600点、…)
- スコアに応じてランクを判定(2000点だからAAです!)
このプロセスは基本的にほとんどの音ゲーで同じですが、だからと言ってどの音ゲーでも最高ランクの取りやすさが同じというわけではありません。各ステップにおいて、下記の点が機種によって
- 判定幅が違う
- 各判定に対する得点配分が違う
- ランクの区切り位置が違う
という違いがあるために、高ランクの取りやすさに差が出てきます。そして、これらの要因が複雑に絡むために、多機種との上下関係がよくわからないのです。
「判定が甘い」=「高ランクを出しやすい」?
IIDXとSDVXの話に戻って、上記の相違点について考えます。
SDVXはIIDXより判定が甘い(緩い)と言われています。つまり、CRITICALをIIDXのPGREATより出しやすい、ということです。では、『判定が甘いからSDVXのほうがIIDXよりAAAを出しやすい』と言っていいのか?実はそれだけの理由では「YES」と断定することはできません。なぜなら、前項「ランク判定のプロセス」で確認したように、IIDXとSDVXでは判定の辛さ(厳しさ)だけでなく、スコアの計算方法と、獲得スコアに基づくランクの判定方法も異なるからです。
具体的に説明すると、スコアの計算方法については、
IIDX :PGREAT 2点、GREAT 1点、GOOD以下 0点
SDVX:CRITICAL 基本点×1.0、NEAR 基本点×0.5、ERROR 0点
※基本点=満点÷ノート数
と、実は本質的にはほとんど同じなのですが(例としてイマイチでしたね…)、
ランクの判定方法については、区切り位置が
IIDX :AAA MAX×8/9 (=88.88…%)、AA MAX×7/9 (=77.77…%)、…
SDVX:AAA 9,800,000点 (=98%)、AA 9,400,000点 (=94%)、…
(ランクとEFFECTIVE RATEの関係については後述するので、ここでは説明を省かせてください)
となっています。
つまり、得点率だけに注目すれば、実はAAAボーダーはSDVXのほうが遥かに高いのです。それ故に、『判定が甘いからと言うだけではSDVXのほうがAAAを出しやすい』とは簡単には言えず、かといって逆に『ボーダーラインが低いからIIDXのほうがAAAを出しやすい』とも言えず、
- 判定の辛さ
- 得点配分の厳しさ
- ランクボーダーの高さ
これらを総合して比較しなければ、『SDVXというゲームシステムでAAAを出すことはどれくらいスゴいのか?』という問いに答は出せないのです。
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ということで、導入が長くなりましたが、この『じゃあ結局どっちの機種がAAAを出しやすいの?』という疑問に一つの決着をつけてやろう、というのが今回の主旨になります。つまり、上記に述べた得点・ランクシステムの違いを加味して、BEMANI全機種を同じ土俵に上げて、「高ランクの出しやすさ」を比べてみよう、という話になります。これを突き詰めていくと、例えば『IIDXのAAAはリフレクのAR何%にあたるのか?』といった疑問にも答を出すことができます。
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